ゆとり教育

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ゆとり教育(ゆとりきょういく)とは、学習者に焦燥感を感じさせずに、学習者自身の多様な能力を伸張させることをめざす教育のことである。

ゆとり教育は、主に小学校などの初等教育や、中学校・高等学校・中等教育学校などの中等教育において、いわゆる「詰め込み教育」に対する改善策として提唱された教育のあり方でもある。(詳しくは、新しい学力、生きる力なども参照のこと。)

1976年(昭和51年)、加熱する受験戦争や、学校教育が知識を偏重し過ぎた詰め込み教育であるなどの批判(落ちこぼれ問題など)に対応する形で、文部省(現在の文部科学省)の中央教育審議会は、「昭和51年12月答申」において"ゆとりと充実"という表現を用いて学習内容の削減を提言した。これ以降、学習内容の精選(のちに厳選)として各教科の指導内容が削減されていくとともに、中学校などでの「選択教科」の拡大、小学校などでの教科「生活」の新設、小学校から高等学校までの段階のすべてで「総合的な学習の時間」を新設するなど、よりきめ細やかな指導をするために各学校の教育課程に関する裁量権が拡大されてきている。

しかしこの一方で、学習内容の削減が基礎学力の低下を招いているという批判もある。さらに学力低下のため、首都圏を中心として児童・生徒が学習塾に通うようになり、むしろ時間的なゆとりは減ったとの指摘もある。

また従来、学習指導要領に示される学習内容は、「到達目標」(教育目的における十分条件)として解釈されてきた。しかし、学習内容の削減とともに学習進度の早い児童・生徒(浮きこぼれなど)に対する対処が問題となり、2002年(平成14年)に文部科学省は、学習指導要領の内容を「最低基準」と位置づけ、発展的な学習内容を教科書に掲載したり、各学校で発展的な学習の指導を行っても良いという方針に改めた。(なお、この方針は、“発展的な学習の指導を行わなければならない”というわけではなく、“学習指導要領に定めた「最低基準」を満たしさらに余裕のある児童・生徒に対し、その実態に合わせてさらに発展的な学習の指導を行っても良い”というものである。)これと整合性をとるため、2005年の教科書検定では小中学校の教科書にも発展的な内容の記述を容認した。

ゆとり教育によって導入された総合的な学習の時間・少人数クラスなどの新しい取り組みは、教員や児童・生徒の力量・意欲が高い場合は成功しやすい場合が多いため、そういった要素に左右されるという利点と欠点を併せ持つとされる。


学力低下が心配されていたゆとり教育だが、2003年に行われた「新学習指導要領の定着度をみる学力テスト」の結果で、多くの学年、教科で前回調査と同一の問題については、正答率が有意に上昇した設問が、正答率が有意に下降した問題よりも多かったという結果だった。 しかもアンケートで「勉強好き」「どちらかというと好きだ」と答えた子の割合は増加傾向にある。 しかし、「2年足らずで結果が出たのか」「ゆとり教育に危機感を抱いた家庭の教育の結果ではないか」など、ゆとり教育そのものの効果であるとは必ずしも言えず、この調査結果の解釈は難しいともされている。

知識重視型教育とゆとり教育
ゆとり教育以前の知識重視型教育は、もともと第二次世界大戦降伏後(1945年以降)の経験主義的な教育に対する「学力が低下している」という批判による教育方針転換の結果でもある。また、学習指導要領が法的な性質をもつようになったのも1958年(昭和33年)以降であり、それまでは学習指導要領の名称も「学習指導要領」ではなく「学習指導要領(試案)」とされており、法的な性質はなかった。


ゆとり教育の経緯
1977年(昭和52年) 学習指導要領の全部改正 (1980年度〔昭和55年度〕から実施)
学習内容、授業時数の削減。
1989年(平成元年) 学習指導要領の全部改正 (1992年度〔平成4年度〕から実施)
学習内容、授業時数の削減。
1992年(平成4年)から第2土曜日が休業日に。1995年(平成7年)からはこれに加えて第4土曜日も休業日となった。
小学校の第1学年・第2学年の理科、社会を廃止して、教科「生活」を新設。
1999年(平成11年) 学習指導要領の全部改正 (2002年度〔平成14年度〕から実施)
学習内容、授業時数の削減。
完全学校週5日制の実施。
「総合的な学習の時間」の新設。


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